世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」
史跡「是川石器時代遺跡」

史跡是川石器時代遺跡は、青森県の太平洋側、八戸市是川に所在する縄文時代の集落遺跡です。本史跡は、時期の異なる3遺跡を内包しており、「円筒土器」の由来の一つである前期後半から中期の一王寺遺跡、ミネルヴァ論争の舞台となった中期末の堀田遺跡、そして、植物質遺物や漆製品が数多く発見された晩期の中居遺跡と、それぞれ考古学史上で重要な発見がありました。

空から見た是川石器時代遺跡

世界遺産となった中居遺跡は、竪穴建物跡、土坑墓、配石遺構、送り場、水場など多様な遺構がみつかっています。集落は、近くの新井田川に合流する南側の小川と北側の谷、そこに挟まれた台地上に営まれました。台地には竪穴建物跡のほか、120以上の土坑墓が作られ、中には「赤染人骨」が埋葬されています。小川には水辺の作業場が作られ、後に送り場となりました。送り場は現在、低湿地となっており、大量の堅果類の殻でパックされた木製品や漆製品が水漬けとなり、当時の形や色彩を保ったまま出土しました。種子・花粉・木材も保存されており、分析から当時の環境復元もできました。木製品・漆製品・土器・土偶などを含む出土品は、種類が豊富で完形率が高い亀ヶ岡文化期の一括として重要文化財に指定されています。

縄文時代晩期の中居遺跡

漆製品一つをとっても、素材となる樹木の育成から加工・成形、漆の採取・精製・塗り・硬化といった複雑な技術や、計画的な自然利用を読み取ることができます。中居遺跡は、ムラの周りにハラ(里地)を広げ、有用植物を育て、資源を入手して工芸的な道具を作り、送り場の祭祀(道具送り)や葬送をする、成熟した縄文文化の姿を伝える遺跡といえます。

木胎漆器の出土状況
木胎漆器の出土状況

※中居遺跡は第1期整備工事のため、当面の間、立ち入りができません。 

是川石器時代遺跡は、2021年(令和3年)7月、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産として、世界遺産になりました。世界遺産についてのくわしい情報は公式ホームページをごらんください。

→北海道・北東北の縄文遺跡群ホームページ