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遺跡見学会に参加して

10月25日、市内で発掘作業が進められている松ヶ崎遺跡見学会(ボランティア向け)があった現場では、縄文時代中期の盛土とその周辺、古代の竪穴建物跡を担当する2つのグループで発掘作業が行われていた。
縄文時代の発掘現場では、掻き箆(編集註:移植ゴテ)など使い土を薄く削り取っていく作業を目の当たりにした。また、発掘された土器や石器などが臨場感たっぷりに発見場所並べ置かれている様子も見学できたこのような作業の様子写真を通して見たことはあったが、そこには臨場感はない。今回の見学会では、数千年前この地で暮らした縄文人たちと同じ土の上に立つことで、当時の縄文人の息吹を少し感じ取れたような気がした。これは、現地に足を踏み入れてみることの大切さを再認識させられた瞬間でもあった。

古代の竪穴建物跡の発掘現場では、焼失した後に残った木材が建物跡の床面に露になっていた。発掘担当者による解説で興味深かったのは、「竪穴建物内の壁面に近い所に焼土があったことからその部分に炉があったと推定される。また、その壁面に近接した外側に煙出しと思われる痕跡があることから、この炉は屋外に煙出しを備えた炉であったと思われる」と語っていたことである。遺構や遺物のほんの一部を見て、このような推定をしていくその専門性に驚いた次第である。

見学中、現場の発掘担当者2人から解説を聞く機会に恵まれた。その解説の中でも、「あるモノが、どこに、どのような状態で捨てられ(置かれ)たのかは、人間の行為の結果である。そしてその背景にはそこで暮らした人間が作ったきまりや人間の心理がある」という言葉に痛く感動したのを覚えている。今年7月から体験指導やガイドを何度か経験してきたが、これまではモノの形や文様の解説に傾斜しがちだったような気がする。今後は、モノ作られた背景やそれを作った人間の心理についても語れるよう研鑽していきたいと考えている。(大山)