考古学講座を開催しました
7月13日(土)に是川縄文館考古学講座を開催しました。
5月から7月の前期日程では、「北海道・北東北の縄文遺跡群と世界遺産Vol.4」と題して、世界遺産登録への取り組みが進む縄文遺跡群について学ぶための講演会を3回にわたり開催しています。
第3回は講師に外ヶ浜町教育委員会の駒田透氏と青森市教育委員会の児玉大成氏をお迎えし、構成資産である大平山元遺跡と小牧野遺跡に関するご講演をしていただきました。
駒田氏からは「大平山元遺跡の最新情報と珪質頁岩」という演題で、大平山元遺跡から出土した珪質頁岩製の石器について、最新の研究結果である石材の産地についてお話していただきました。
珪質頁岩は含まれる成分によって3つのタイプに分かれるということが、分析の結果からわかったそうです。そして、大平山元遺跡から出土したものは大部分が近くの産地から採取できる珪質頁岩と同一の成分であるということが明らかになりました。また、遺跡からは他の産地の珪質頁岩も出土しており、当時から人々の交流があったと考えられるということをお話しいただきました。今後、データの蓄積が必要であり、そこからさらなる研究の進展が期待できそうです。
児玉氏からは「小牧野遺跡にみる縄文時代の土木工事と祭祀」という演題で、小牧野遺跡の環状列石が作られる過程の土木工事や、環状列石にまつわる祭祀についてお話していただきました。
小牧野遺跡は標高80~160mの台地上に立地しています。研究によって、環状列石の構築の際、斜面の高い方の土を削り、その削った土を斜面の低い方に盛土するなど、あらかじめ土地の造成が行われたことが明らかになりました。また、環状列石には約2,900個の石が用いられており、遺跡から約1km離れた河川から運ばれました。重いもので500kgになるものもあるそうです。さらに、遺跡からは現時点で竪穴建物跡が2棟しか見つかっておらず、土地の造成や石材の運搬など、大規模な土木工事が行われたものの、その作業量や土木工事の規模に見合うほどの人々が暮らしていた大きな集落跡が見つかっていません。そのため、環状列石の構築時や祭祀場としての使用の際は、周辺の集落から人々が集まっていたのであろうということでした。
前期の考古学講座はこれで終了です。たくさんのご参加ありがとうございました。
12月スタートの後期考古学講座をお楽しみに!
8月24日(土)は特別展考古学講座を開催します。
講師に東北芸術工科大学の青野友哉氏をお招きし、ご講演いただきます。
また、特別展会期中の毎週土曜日は特別展ギャラリートークを開催しています。
当館学芸員による展示の解説をおこないます。ぜひ、そちらへも足をお運びください。