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カシュー漆塗り研修会に参加して

先日(5月30日)開催されたカシュー漆塗り研修会に参加した。カシュー塗りのイメージをつかんでもらうためだったのか、数週間前からスタッフルームにカシューを塗った遮光器土偶(頭部)のサンプルが置いてあった。それには鮮やかな朱色のカシューが塗られており、塗布面が漆のような光沢を放っていた。調べてみたら、この漆はカシューナッツの殻から抽出される成分を基に合成されたもので、漆と似た光沢や使用感が得られることから「カシュー漆」と呼ばれていることがわかった。
さて、当日はボランティア18人の参加があった。講師である学芸員からカシュー塗りの説明があり、朱色と黒色のカシュー漆が調合され準備が整った。その後、参加者それぞれが持ち寄った作品にカシューを塗布する工程に入った。私は遮光器土偶(頭部)に朱色、猪形土製品には黒色のカシューを塗った。時間が経つにつれて塗布面が安定・硬化すると、2つとも新たな色彩と光沢をまとった実に美しい姿に生まれ変わっており、感動した。「参加してよかった!」と感じた瞬間でもあった。
今回のカシュー漆塗りは私にとって初めての経験であったことから、いろいろと学びがあった。特に、凹凸が多い土偶には塗り残しがないよう細心の注意が必要であること、カシューが硬化する前に触れてしまうと塗布面に指紋が残ることがあること、そして小さなキズや割れ目がカシューを塗布することによって目立たなくなることなど、新たな気づきがあった。これまでいろいろな土器・土偶を習作してきたが、カシュー漆を用いた今回の研修は今後の作品作りに新たな可能性をもたらす貴重な経験となった。

大山