第1回考古学講座を開催しました
12月17日(土)に令和4年度是川縄文館考古学講座の後期第1回を開催しました。本講座は、10月から11月にかけて開催された秋季企画展「食と縄文人」の内容を補完することを目的としています。縄文時代の「食」について、多様な視点からご研究を進められている先生方や、近年新たな発見のあった遺跡のご担当者お招きし、その成果についてお話をいただきます。
第1回は、遊佐町教育委員会教育課文化係の、金野史弥先生をお招きし、「小山崎遺跡における縄文人の「食」について」と題してお話しいただきました。
ご講演では、まず遺跡がある山形県遊佐町や周辺環境についてご紹介いただくとともに、昨年度2月に新型コロナウイルス感染症拡大のため中止となった後期第3回考古学講座「小山崎遺跡からわかる縄文人の植物利用」の内容についてもお話しいただきました。
お話によると、小山崎遺跡は、鳥海山の湧水により保存された多様な木材や種実、木製品が多数出土しており、樹種等の特定により、当時の環境の復元が進められているとのことです。また、他遺跡ではみられないカボチャの近似種が確認できたというお話もあり、縄文人の植物利用について、多くの成果があったようです。
主題である「食」については、先に話題にあがった植物のほか、遺跡から出土した動物の種類や数についてのご説明があったほか、遺跡から出土した人骨の分析結果についてもお話がありました。それによると、縄文時代前期の人骨は海産資源を多く摂取しており、後期の人骨は前期にくらべ陸上資源を多く摂取していることが判明したとのことです。前期から後期にかけては環境の変化があったことが確認されており、その影響によるものと推測されています。
我々の日々のくらしに欠かせない「衣食住」のひとつがテーマということで、縄文時代の話ではありながら現代とのつながりを感じさせる今回のお話に、参加者は非常に興味深く聞き入っていました。
次回は来年1月14日(土)の開催です。
福島県立博物館の高橋満先生をお招きし、縄文時代の塩づくりについてお話しいただく予定です。
是非ご参加ください!