考古学講座(前期・第2回)を開催しました
6月18日に考古学講座を開催しました!
7月23日からはじまる開館5周年記念夏季特別展「山の縄文世界-中部高地の縄文時代-」のプレイベントとして開催中の連続講演会。第2回として、山梨県北杜市埋蔵文化財センターの佐野隆先生を講師にお招きしました。
「中部高地、八ヶ岳山麓の縄文世界」と題して、壮麗な土器を特徴とする縄文時代中期の文化についてお話いただきました。この地域の土器には、動物や人体を表現したとされている「物語性文様」が多くみられます。物語性文様の中には、たしかにカエルやヘビなどの動物に見えるものも多くあります。しかし、何を表現しているのかは、縄文人とは異なる文化や価値観をもつ私たちには、想像することしかできません。
佐野先生は、想像をめぐらせるのも面白いけれど、考古学的に分かることから物語性文様の意味を探ることが大切だと話しておられました。物語性文様が発達した地域では安定した資源が少なく、ドングリなどの堅果類が主な食料であったことがこれまでの研究で分かってきました。ドングリ類は豊作と不作の差が激しいので、豊かな実りを求めた祈りの形として、物語性文様が生まれたのだと推測することができます。
「物語性文様の意味」という想像するしかないような問題にも(佐野先生いわく「無理難題!」)、分かることを積み重ねてアプローチしていく、考古学の可能性を感じる講演会となりました。
ご講演の中で紹介された物語性文様をもつ土器は、特別展で多数展示する予定です。ご期待ください!
次回は7月16日(土)の14:00〜、明治大学黒耀石研究センター客員研究員である会田進先生をお迎えする予定です。最近の研究で明らかになってきた、縄文時代中期のマメ類の利用についてお話しいただく予定です。お楽しみに!