考古学講座(前期第1回)を開催しました。
期間: 平成28年5月14日
5月14日に今年度最初の考古学講座を開催しました!
5〜7月の前期日程では、7月23日から開催される夏季特別展「山の縄文世界ー中部高地の縄文時代ー」のプレイベントとして、長野県・山梨県でご活躍の先生をお招きして、講演会を開催します。
第1回の講師には、長野県埋蔵文化財センターの水沢教子先生をお招きし、「東日本縄文社会における交易と交流」というご演題でお話しいただきました。
縄文時代中期の東日本では、地域ごとに多様な土器型式が成立しましたが、長野県の周辺では様々な地域に由来する土器が出土し、地域間の交流の要所だったそうです。東北地方を中心に分布する大木式土器もかなり出土しているようです。他地域の土器が出土する場合、遠隔地で作られた土器が運ばれてきたのか、それとも地元で模倣して作られたものなのか、ということが問題になります。
水沢先生は、土器に使われている粘土を調べる胎土分析という方法で、土器が地元の粘土で作られているのか、それとも遠方の粘土で作られているのかを調査しておられます。ご講演では胎土分析の原理と方法を丁寧に解説してくださいました。顕微鏡を使って粘土に含まれる微細な鉱物を調べることで、遠く離れた地域間の交流の様子がわかるということで、聴講された方からも驚きの声があがっていました。
また、水沢先生が紹介された長野県の土器は壮麗なものばかりで、特別展がますます楽しみになる講座となりました。
次回の考古学講座は、6月18日(土)14:00から、山梨県北杜市埋蔵文化財センターの佐野隆先生を講師にお招きします。ぜひご参加ください。