考古学講座(前期第1回)を開催しました。
5月16日(土)に東村山ふるさと歴史館学芸員の千葉敏朗先生をお招きして、平成27年度考古学講座(前期第1回)を開催しました!
本講座では平成27年5月〜7月を前期日程として、3回にわたり「縄文時代の漆利用」をテーマに講演会を実施します。7月から開催予定の特別展「漆と縄文人」のプレイベントでもあり、特別展をよりお楽しみいただける内容となっています。
第1回目の講師である千葉先生からは、「下宅部遺跡からみた縄文時代の漆工技術-ウルシ林の管理から漆補修まで-」と題して、下宅部遺跡の発掘調査と研究の成果をお話しいただきました。
下宅部遺跡は東京都東村山市にある、縄文時代後期の低湿地遺跡です。樹液を採取した傷跡の残るウルシ材など、ウルシ林の管理から樹液の採取、調整加工、塗布、補修にいたるまで、縄文時代の漆工工程の全容を知ることのできる資料がみつかっています。
千葉先生は、出土したウルシ材の緻密な分析や、現在のウルシの木に石器で傷をつけて樹液を採取する実験を通じて、縄文時代の人びとが無駄なく樹液を採取していたことを強調しておられました。また、ウルシ林では間伐が行われ、ウルシ林を維持・管理する技術が発達していたことも明らかになったそうです。
漆製品は中居遺跡でも多数出土していますが、その背景には非常に高度な漆工技術があることを知り、参加者はとても驚いていたようです。
次回は6月19日(土)14:00〜です。奈良文化財研究所名誉研究員の岡村道雄先生を講師にお迎えし、「世界一の縄文漆文化-もの作り日本のルーツ-」と題したご講演を予定しております。ぜひ足をお運びください。