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平成25年度考古学講座(前期第3回)を開催しました。

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平成25年5月~7月にかけて全3回にわたって行う、平成25年度前期の考古学講座の第3回目を、7月6日(土)に開催しました。

今回の講師は、青森県埋蔵文化財調査センターの高橋哲先生です。ご講演は、「縄文時代の石器の用途について-使用痕分析から何がわかるか-」と題し、縄文人の石器の使い方についてお話しをいただきました。

縄文石器の使われ方は、たとえば石鏃は矢の先、石匙はナイフといったように、これまでその石器の形などから名前がつけられ、推測されてきました。しかし、この推測が本当に正しいのか、あるいはどのようなものに対して切ったり、刺したりしたのかなど、石器の具体的な使われ方については、実はよくわかっていないのが研究の現状です。

そこで注目されたのが、使用痕分析です。石器は、使いつづけると刃の部分がすり減ってきます。このすり減り方が、切ったりする対象となる皮や骨、木などで違いがあらわれます。この使用痕分析は、金属顕微鏡を使って、石器の刃の部分を細かく観察して、すり減り方の違いを明らかにする研究です。

高橋先生は、この研究の第一人者であり、これまで縄文時代だけにとどまらず、旧石器時代や古墳時代など、さまざまな時代の石器を分析されております。今回は、これまでの研究成果をもとに、とくに研究が遅れていた縄文石器の使用痕分析について、石匙などの切る道具を中心に解説していただきました。

平成25年度考古学講座前期「石器からわかること」は、今回をもって終了となります。多くのみなさまからご聴講頂き、誠にありがとうございました。考古学講座後期は、12月からの開催の予定です。ぜひそちらもご参加ください。

また、7月20日(土)から開催している特別展「みみずく土偶と縄文人」にちなんで、8月24日(土)に特別展考古学講座を開催する予定です。講師は栃木県立博物館の上野修一先生です。「安行文化のまつりと土器」の演題のもと、みみずく土偶が作られた関東地方の安行文化についてお話しをいただく予定ですので、どうぞご期待ください!